コラム 和歌山

GLOCAL MISSION Times 編集部

【地方都市の魅力】和歌山県和歌山市 温暖な気候で移住者・子育て支援も充実した活気のある街

移住希望先ランキングで毎年上位にランクインする和歌山市。温暖でおだやかな気候で、地域経済も堅調、移住者および子育てに対する支援も充実していることが特徴です。この記事では移住先としての和歌山市をご紹介しますので、ご参考にしていただければと思います。

移住先として人気で地域の移住意向も低い住みやすい街

2020年11月現在、和歌山県の新型コロナウイルス感染拡大状況は、比較的落ち着いているといえます。11月13日現在までの感染者数累計は308人で、47都道府県中30位。人口あたりの感染者数累計も26位です。小康状態だった9月を過ぎ、10月以降は感染発生者数が増え始めてはいるものの、それでも多い日でも6~7人程度。「よく持ちこたえている」といえるのではないでしょうか。

さて、和歌山県は移住先として人気の土地です。ふるさと回帰支援センターが毎年調査している「移住希望地ランキング」では、2019年は第13位。2014年は20位、2015年20位、2017年13位、2018年18位と、上位20位以内に毎年のようにランクインしています。

また、一般社団法人ストレスオフ・アライアンスが発表した「ストレスオフ白書2019-2020(地域版)」によれば、「移住意向の低い都道府県別ランキング」で和歌山県は、島根県について全国第2位。居住者のストレスが低く、地域満足度が高いことも明らかになっています。

和歌山市は、紀伊半島の南西部を占める和歌山県の最北部にあります。奈良県から和歌山県へと流れ、瀬戸内海に注ぐ紀の川の河口に位置し、市街地はおもに河口付近に集中しています。江戸時代は紀州徳川家の城下町として栄えたため、現在でも城下町の名残をとどめ、地名に「○○丁」「○○町」の名称が混在しています。

瀬戸内海に面した和歌山市の気候は、瀬戸内海式気候です。年間を通して温暖で、平均気温は下表のとおり16.7℃。天気や湿度が安定していて、降水量も比較的少ないのが特徴です。

ただし、南北に広い和歌山県は、和歌山市がある北部と、南部とでは気候が大きく異なります。南部は太平洋型気候に属しますので、日照時間が長く、降水量も多いです。小旅行などをすれば、異なった自然特性の土地へすぐに行けるのも、和歌山市の魅力だといえるかもしれません。

【和歌山市の平均気温(1981年~2010年】8980_01.png (10 KB)(資料:気象庁資料より筆者作成)

和歌山県内にある空港は南紀白浜空港です。ただし、南紀白浜空港は和歌山県の南部にあり、和歌山市からは車で1時間半、電車なら3時間がかかり、また路線は東京便しかありませんので、利用の機会はそう多くはないでしょう。

和歌山市から最寄りの空港は、関西国際空港です。国内有数のハブ空港である関西国際空港へは、和歌山市から特急で40分程度、車でも30分程度です。県をまたぐとはいえ、関西国際空港は大阪府の南部にあります。車でも特急電車でも1時間程度がかかる大阪市内より、和歌山市は関西国際空港から近く、空港への利便性は高いといえます。

【関西空港の旅客数(2019年)】8980_02.png (10 KB)(資料:国土交通省資料より筆者作成)

和歌山市内の鉄道は、ターミナル駅としてJR西日本の和歌山駅と南海電鉄の和歌山市駅の2つがあります。和歌山駅には、JR西日本の阪和線、紀勢本線、および和歌山線のほか、和歌山電鐵の貴志川線が乗り入れています。和歌山市駅へは、南海電鉄の南海本線、加太線、および和歌山港線の3路線です。

モータリゼーションの急速な進行により、和歌山市も例にもれず、市内の交通手段は自家用車の利用が増えています。しかし、多極連携型のコンパクトなまちづくりと持続可能な交通ネットワーク構築を目指し、和歌山市では長期総合計画を策定し、公共交通機関の充実に力を入れています。バスの赤字路線に対して補助を行うとともに、デマンド型乗り合いタクシーも導入。運行ルートや停留所、運賃、ダイヤを設定し、予約があった場合にのみ運行するこのデマンド型乗り合いタクシーにより、人口密度が低いためバスが運行できない地域の交通の便を補っています。

【和歌山駅の1日平均乗降客数の推移(単位:人)】8980_03.png (11 KB)(資料:和歌山県資料より筆者作成)

製造業と卸売・小売業が街の経済の中心

和歌山市の人口は、国勢調査によれば昭和60年の40万1,352人をピークに減少しており、平成27年では36万4,154人です。ただし世帯数は、伸び率は鈍化してきているとはいえ増加を続けている現状です。紀の川の河口付近が人口集中地域となっていて、62.84平方kmの地域に市街化区域人口の約9割が住んでいます。

和歌山市の産業は、第3次産業が圧倒的に多いのが特徴です。事業所数で見れば、第1次産業は0.1%、第2次産業は16.5%、第3次産業は83.4%です。事業所数で多いのは、卸売業や小売業、宿泊業、飲食サービス業、製造業などとなっています。ただし、付加価値額で見た場合には、製造業および卸売・小売業の貢献度が高く、より少ない事業所数・従業員数で高い付加価値を生んでいます。この製造業と卸売・小売業が和歌山市の経済を支えているといえます。

製造業は、産業全体の付加価値額の4分の1を占める和歌山市の主要産業です。製品出荷額、および付加価値額とも、長期的には増加傾向ですが、技術革新により従業員数は減少傾向となっています。業種としてみると、繊維工業、食料品製造業、家具・装備品製造業、化学工業の事業所数・従業員数が多いです。これらの付加価値額は全国平均を上回っており、和歌山市の特徴的な傾向だといえるでしょう。代表的な地場産品としてニット(メリヤス)や建具、和家具、皮革製品などがあります。

卸売・小売業については、かつては県内全域と大阪府の南部までを商圏として発展していました。しかし、近年では県内の他の市町村や大阪南部での卸売・小売業の発展にともない、和歌山市の商圏は縮小しています。また、郊外に大型店が出店することにより、中心部の衰退が顕著な傾向として見られます。

【2020年の公示地価の変動率】8980_04.png (7 KB)(資料:和歌山県資料より筆者作成)カッコ内は前年実績

【和歌山市の事業所数・従業員数(2016年度)】8980_09.png (5 KB)(資料:和歌山市資料より筆者作成)

和歌山市では、2017年度から10年間の計画として、第5次和歌山市長期総合計画を策定しています。この長期総合計画では、目指すべき将来都市像を「きらり 輝く 元気和歌山市」とし、以下の4つに取り組むとしています。

1. 雇用の促進
製造業をはじめとして産業の発展と、サービス産業の労働生産性向上を図ることにより、域内経済の好循環を生み出す。

2. 魅力ある都市空間
中心街は、和歌山城を中心とする歴史的な景観を重視しつつ都市機能の集積を図る。郊外は、自然や歴史・文化などの地域特性を生かした多様性のある地域づくりを行う。

3. 子育て環境
安心して結婚や妊娠・出産・子育てができる環境を整える。

4. 持続可能性
道路・公共交通ネットワークの整備により、歩いて暮らせる多極型のコンパクトなまちづくりを目指す。

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(資料:和歌山市提供)

移住や子育てに対する支援も充実

和歌山市では、大方の地方都市の例にもれず、近年は転出超過が続いています。そこで移住者支援に力を入れ、積極的に移住者を受け入れる施策を多数実施しています。

まず和歌山市の施策として「移住支援金」があります。これは、東京23区に5年以上在住または通勤していた人が和歌山市へ移住し、和歌山県が運営するマッチングサイトに掲載される企業に就職した場合、単身なら60万円、2人以上の世帯なら100万円を支給するというものです。

また、移住者支援には、和歌山県の施策も以下のとおり多数あります。

・移住者企業補助金 …地域の課題解決のために新たに事業を始める人に上限200万円の補助金支給

・移住者継業補助金 …後継者不足により廃業を余儀なくされている商店などの後継者となった場合、最大100万円の補助金支給

・空き家改修補助金 …県外から移住し空き家を改修する場合に最大80万円、補助率3分の2までの補助金支給

・片道交通費支援補助金 …移住のための下見で現地訪問する際に最大2万円の補助金支給

【和歌山市の転入者数・転出者数・転入超過数の推移(単位:人)】8980_07.png (17 KB)(資料:和歌山市資料より筆者作成)

和歌山市では、子育てに対する支援も充実しています。2020年から5年間の期間で「「第二期和歌山市子ども・子育て支援事業計画」を策定。以下のような施策を展開しています。

1. 母子保健事業の充実
母子の健やかな心身育成支援、食育の推進、周産期・小児医療体制の充実など

2. 子育てしやすい環境整備
子育ての不安や負担を和らげる支援、保護者の孤立防止と仲間づくりの推進、地域での子育て支援、経済的な支援、男女共同参画の推進、子育てと仕事の両立支援など

3. 保育事業、教育事業の充実
子育て支援事業についての情報提供、教育・保育事業の充実、子育て支援事業の充実、相談支援や事業の利用支援など

4. さまざまな家庭への支援
ひとり親家庭や障害のある児童のいる家庭、海外にルーツを持つ子供のいる家庭などへの支援、子供の虐待の早期発見と防止など

5. 子供・若者の育成支援
子供の人権擁護、家庭・地域の教育力向上、教育環境の充実、引きこもり対策支援、若者の就労支援など

6. 貧困対策 
教育や生活、保護者の就労、経済的な支援など

【和歌山市内の生活情報】8980_08.png (8 KB)(資料:和歌山市・日本医師会資料より筆者作成)

気候が温暖でおだやかなうえに移住者や子育てに対する支援も充実している和歌山市。経済も堅調ですので、移住後にさまざまなプランを実行していくことも可能でしょう。地域課題解決のための企業や商店の事業承継などは、すぐにでも検討してみたい魅力的なプランではないでしょうか。大阪や東京などからのアクセスも良い和歌山市は、移住先として有力な候補地の一つといえるでしょう。

 

(「Glocal Mission Times」掲載記事より転載 )