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GLOCAL MISSION Times 編集部

「地方圏での暮らし」の意識・行動に関する調査結果 (内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局)

地方暮らしへの関心あり、ついに東京圏在住の約半数に

内閣府官房まち・ひと・しごと創生本部事務局は、地方移住の増加に向けた広報戦略を立案するため東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)在住者を対象に「東京圏以外の地域(地方圏)での暮らし(以下「地方暮らし」)」の意識・行動を把握するためのWEBアンケート調査(令和2年1月)とグループインタビュー(令和2年2・3月)を実施。令和2年5月15日付で調査結果を発表した。
本調査では、東京圏在住者(20~59歳)の49.8%が「地方暮らし」に関心を持っていること、地方圏出身者の方が東京圏出身者よりも関心が高いこと、全体的に若者の方が関心を持っていることなどが明らかになった。

東京圏在住者のうち、「意向あり層」は49.8%を占めており、内訳は、関心層36.1%、検討層11.5%、計画層2.2%となっている。また、地方圏出身者の「意向あり層」出現率は61.7%で、東京圏出身者の45.9%と比べて15.8%ポイント高い結果となった。

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出典:まち・ひと・しごと創生本部 2020.5.15

関心層から断念層までの5層の平均年齢を比べると、非意向層が最も高く(41.3歳)、関心層/検討層はほぼ同齢(40.1歳/40.3歳)、計画層が最も低く(35.7歳)、意向が高まるほど平均年齢が若くなる傾向が見られた。これは地方圏出身、東京圏出身ともに同じ傾向だという。

「地方暮らし」を意識したきっかけについては、東京圏出身者は「旅行」、地方圏出身者は「将来のライフプランを考えたこと」とのこと。東京圏出身の「意向あり層」が「地方暮らし」を意識したきっかけのトップ2は、「旅行」(25.2%)、「将来のライフプランを考えたこと」(23.7%)、地方圏出身者は「将来のライフプランを考えたこと」(32.4%)、「帰省がきっかけ」(23.2%)となっている。

なお、東京圏出身者/地方圏出身者ともに「意向あり層」が「地方暮らし」のために発信して欲しい情報のトップ2は、「仕事、就職に関する情報」(61.2%/60.3%)、「住居、住宅購入に関する情報」(59.9%/57.4%)となっており、発信して欲しい情報の多くは「仕事」と「住まい」に関するものだ。

また、地方圏出身の20代30代が地元に戻らない理由としては、男女共通で「コミュニティが狭すぎること」「仕事がないこと」などが挙げられた。


・いろんな噂が1日で広まるのはきついかな。コミュニティが狭い。(男性・関心層)
・自分の地元も、遊びはモールに行ってそのあとファミレスが定番。誰かしらに会い、どこに行ったのか町中に筒抜け。(未婚女性・検討層)
・全国区の会社に入り、外の人たちの話を聞き、地元がつまらない、この狭いところから出たい、と思った。(既婚女性・非意向層)
・希望に合う自分の生活水準を満たすような仕事はない。(男性・非意向層)
・ 英語を使った仕事がしたいけど、地元にはない。(未婚女性・非意向層)

※ すべて報告書より抜粋

さらに、女性特有の理由として「帰りたいのに、地元の価値観(女性への偏見等)になじめない」という意見も聞かれた。


・周りが結婚したりして帰りづらい。あれこれ言われない状態になったら帰りたい。(未婚女性・関心層)
・地元に戻りたいけど、今のこの歳で戻るというのは肩身が狭い。女性は家にいるものだと根強く残っているので、そういうのは苦しいかなと思う。(未婚女性・関心層)
・ただ転職で戻っただけでも周りにワケありと思われる。(未婚女性・検討層)
・地元では、いつか結婚して、ここに住んで子ども育ててと言われてきて、その通りに過ごす友達もみてきたけど、自分はそう思えなかった。(未婚女性・非意向層)

※ すべて報告書より抜粋

政府は、本調査結果等に基づき、東京圏在住の若者に対して「地方暮らし」への関心を高め、「今後、地方で暮らすという選択肢もあり得る」と思ってもらうための広報を内閣府地方創生推進事務局と恊働して実施する予定だという。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、人々の暮らし方や働き方の価値観が変わる中、 地方暮らしへの関心がさらに高まるのか。そして、地方はこれをチャンスへと変換できるのか。今後の双方の動きが注目される。

(参考)調査対象者
・WEBアンケート調査:東京圏在住者(20~59歳) 10000名(一都三県の実人口<2015年国勢調査>に応じて割付)
・グループインタビュー:東京圏在住者(20~39歳)18グループ・104名

(「Glocal Mission Times」掲載記事より転載 )