東大卒業後、農水省を経て、世界的コンサルティング会社へ
今年、長野県白馬村に次々と開業した新施設が話題を呼んでいる。スキーシーズンとは真逆の8月にお目見えしたのは、アドベンチャーパーク「白馬つがいけWOW!」。フランス発祥の「Xtrem Aventures(エクストリーム アベンチャーズ)」を日本で初導入した施設で、自転車での空中散歩など、9種類のスリリングなアクテビティが楽しめる。
【白馬つがいけWOW!】3層式ネット型アクティビティ「アミダス」や地上10メートルの空中自転車綱渡り「コギダス」など、大パノラマロケーションを活かした9種類のアクティビティが楽しめる
さらに10月には「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR(ハクバ マウンテンハーバー)」がオープン。北アルプスの絶景を一望できるテラスには、ニューヨーク発の老舗ベーカリー「THE CITY BAKERY」も信州初出店した。
【HAKUBA MOUNTAIN HARBOR】 白馬三山(白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳)を正面に見据え、圧巻の絶景テラスからは、四季折々の北アルプスの山岳風景が一望できる。「THE CITY BAKERY」では、白馬ならではの素材を使ったここでしか味わえない限定メニューも味わえる
こうした新施設の新仕掛け人が、「白馬観光開発株式会社」の代表取締役、和田寛さんだ。
ひとことで「白馬」といっても、白馬村には10か所ものスキー場がある。そのうち、白馬八方尾根スキー場、白馬岩岳スノーフィールド、栂池高原スキー場を運営しているのが、「白馬観光開発株式会社」。白馬地域では最大の事業者だが、その代表を務める和田さんは、地元の出身者ではない。
和田さんは、東京生まれの東京育ち。東京大学卒業後に、農水省に入省。アメリカの大学でMBAを取得した後、世界的なコンサルティングファームである「ベイン・アンド・カンパニー」に転職。その後、2014年に「白馬観光開発」の親会社である「日本スキー場開発」に入社し、昨年、白馬観光開発株式会社の代表に就任した。
白馬観光開発株式会社 代表取締役 和田 寛さん
人もうらやむような華々しいキャリアを歩みながら、和田さんが白馬を次のステージに選んだのはなぜだったのか?
―まずは東大を卒業されてから現職に至るまでの経緯を教えていただけますか?
僕はもともと東京生まれ、東京育ちなんですが、両親が山が好きで、小さい頃からスキーに連れて行ってもらっていたんです。そんな両親の影響もあり、高校時代はスキーにはまっていましたし、大学当時は山登りが大好きでした。だから自分のライフテーマを初めて真剣に考えたときに思い浮かんだのも、「自然」「田舎」「環境問題」というキーワードだったんです。でも当時の拙い知識では、「民間企業ではできないだろう」と思っていたので、公務員試験を受けようと思い立って勉強を始めました。農水省か環境省かどっちかに入るぞと思って両方まわっていて、より現場感があって面白そうだったので、農水省への入省を決めました。2000年の4月のことです。
―農水省ではどんなお仕事を?
扱うテーマは農業、林業、環境問題になるんですが、実際は必ずしもそういう仕事だけできるわけではなくて。組織をどうするかだとか、法律をどう書くかだとか、そういうテクニカルな仕事をやらされることのほうが多かったんです。また当時は農水省の中でもいろいろ問題を抱えている時期でして。BSE(狂牛病)という問題が起きたり。自分は結構体力もあって、瞬発力も比較的役人の中ではある方だったので、そういう部署にどんどん回されて、問題にふたをするような仕事ばかりやらされていたんです。すると、「何のために仕事をやっているのかな…」と、結構早い段階で疑問に思い始めたんですよ。役所のための仕事ではなくて、もっと、人の生活を良くするための仕事がやりたいと思うようになったんです。
と同時にもう1つ気づいたのは、ビジネスを良くしない限り、田舎は良くならないということ。農業の「業」は業であり、インダストリー、つまりビジネスですから。そこを良くしようとしたら、役人では限界があるのかな?というような感覚を覚えたんです。
それでビジネスの勉強をするために、MBIに2年間留学しました。帰国後、勉強したことを活かせる部署に行かせてほしいと上司に希望を出したんですが、役所の人事っていうのは、そうすぐ動けるものではなく。結局、自分の意志を貫き通す形で2008年の4月に退省しました。
―それで経営コンサルタントに転職されたんですね
ええ。ビジネスを良くするということに特化した仕事をやってみようということで、「ベイン・アンド・カンパニー」というコンサルティング会社に入りました。最初は2~3年勉強すればいいかなという程度のつもりで入ったんですけれども、目の前にいる会社を良くするという仕事をやって、成果が出るとお客様も喜んでくれたり、リピートしてくれる。そのサイクルはすごく楽しかったし、刺激的でもありました。
でもその一方で、もともと持っていた自然や山からはかけ離れている仕事ばかりしているなぁ、という寂しさもあって…。「田舎や自然に携わる仕事のほうがきっと面白いはず。そういう仕事が無いかな?」という気持ちはあったんですが、当時は募集をしているサイトもなかったし、田舎の仕事を持ってこられるヘッドハンターさんもいませんでした。結局そのまま仕事を続けていたんですが、あるときたまたま、うちの親会社(日本スキー場開発)の存在を知ったんです。
実は当時、コンサルをやりながら毎週末のようにスキーに行っていまして。「白馬は段違いに良い場所だなぁ。ポテンシャルすごいなぁ」と思いながら通っていたので、あるとき日本スキー場開発が白馬にスキー場を持っているということに気づき、ホームページ経由ですぐに中途採用に応募して、採用された、というのが入社に至る経緯です。だから一見、それまでのキャリアとは関係無いように思われますが、自分の中ではそんなに違和感が無いというか、一本の線でつながっているような感じなんです。
市場の縮小と施設の老朽化に直面している日本のスキー場
―中途で入社された時は、どのようなポジションで入られたのでしょうか
経営企画室長という肩書きで入っています。1年後に取締役になって、2年後に営業と企画を2つ見ることになって、昨年、代表になりました。
―コンサルの時に身につけたスキルは、現職でも活かされていますか?
そうですね。経営全体を考えるということもそうですし、地域の人と地域の将来的なマスタープランを考えていく際は、コンサルの手法でやっています。これから市場はこうなるし、お客さまはこう変わっていくから、今のままだと経営がこうなりますよ、と。そうならないためには、こういうことをしないとダメですよね、っていうプランをスライドで100枚ぐらい作って説明しています。それも自分で勝手に書くんじゃなく、地元の人に、今抱えている課題を全部聞きながら。それに対する対応策や進め方、ミーティングの持ち方、答えの出し方、それからそのあとの説明の仕方とかっていうのも、すべてコンサル的な手法でやっています。みんなが漠然と課題と感じていることをきちんと可視化して、それに対して1個ずつソリューションを当てていって、できるものから先に転がし始める、というやり方ですね。
―スキー場にはどういった課題があるのでしょう?
端的に言うとお客さんが来なくなったということ。もう1つは、施設の老朽化です。スキー場のピークは、白馬でオリンピックが開催された98年を機に、今から遡ること25年くらい前。今のリフトや宿も、だいたいその間に建てられているんです。ところがその間に市場が1/3になってしまった。施設もどこかで入れ替えていかなければならないんですけれども、全然更新が進まない。するとお客さまの満足度も下がっていくと…。地域の持っているアセットがお客さまの要望から乖離しながら経過していて、かつお客さまの数は1/3になっているのに、山のサイズは変わらない。だから全般的には供給過剰になっている、というのが大きな課題です。
しかも、スキーやスノーボードは若い人がするスポーツなので、これからどうしても人口減少の煽りを受けるんです。何もやらなくても市場は小さくなるっていうのは、目に見えている。でも設備はそんなに小さくできるものではない。小さくした分だけ魅力も落ちるので、競争力も落ちます。普通に考えると何でそんな産業に入ったの?って言われるほど難しい産業ではあるんです。
―それでも可能性はあると?
というより、白馬のエリアで見ると、スキー場とかそういう観光産業がないと、1?2万人ぐらいの人たちが生活できなくなるんです。農業だけで食べていけるわけでもないですし、何か工場を作るっていう立地でもないですから。ただ、圧倒的に綺麗な自然というアセットと、世界レベルで見ても圧倒的にすごいスキー場と雪の質と量はあるわけで。これを使わないっていうのは、日本にとっても損だよなと思うんです。
インバウンドの増加が教えてくれた、HAKUBAの可能性
―具体的に、どのように改革に取り組んでこられたのでしょうか?
ここ数年、インバウンドのお客さまが増えているんですよ。お客さまの2割から3割近くが外国人になっています。そうなると競争相手が海外のスキー場になっていくわけで、「リフトが古い」「遅い」という不平不満がいちばんに出てくるんです。でも逆に、なぜうちに外国人が来てくれるのか。理由を分析していくと、白馬山麓エリアでは実は10個ものスキー場があって、それが1つのスキー場みたいな「HAKUBA VALLEY(ハクババレー)」っていう動きをしているんですよね。その10個のスキー場は、1週間滞在したとしても、かなりバラエティのある体験ができるっていうのが1つの売りだったりするんですよ。それが売りであるにも関わらず、今までは10個のスキー場同士で競い合っていたので、インフラは全然バラバラですし、バスでお互いのスキー場を行き来させるっていう発想もなかった。だから今はそうしたインフラの整備に取り組んでいて、プロモーションも「HAKUBA VALLEYとしてやりましょう」と。インフラもSuicaみたいな自動改札システムを共通化(“共通ゲートシステム”)しました。今までは会社ごとにバラバラのシステムだったので、1枚のチケットを持っていても、隣のスキー場では使えなかった。それを2シーズンほど前から、共通の自動改札システムに変えたんです。あわせてシャトルバスを頻繁に走らせて、スキー場の間を結ぶようにしました。
―それまでライバルだったスキー場同士を連携させていくのはなかなか大変だったのでは?
そうですね。10個のスキー場で競争し合うっていう文化は今でも当然残っているので、そこは丁寧に説明するしかない。それでも市場は変わってきているというのは、みんなひしひしと感じていますし、外国人を喜ばせるんだったら、こういうことをやらないとダメだよねっていう共通認識は取れています。あと、さきほどお伝えした“共通ゲートシステム”を導入する時、共同購入をしたんです。するとボリュームディスカウントがものすごくかかるので、結果かなり安く買うことができるわけです。そういうメリットがあるということも、みんなが少しずつ認識し始めているところなんです。マーケティングもしかり。10個のスキー場で、それぞれがオーストラリアへ、台湾へ、香港へ、シンガポールへ、マレーシアへと足を運んで個々にマーケティングするよりも、それぞれが分担し、「HAKUBA VALLEY」を宣伝してくる、というやり方のほうが断然効率的なわけで。そういう実利のあるところは、改革も進みやすいですね。
非日常をオールシーズンで提供できる「マウンテンリゾート」へ
―「マウンテンリゾート」というテーマを思いつくに至った背景は?
冬よりも春、夏、秋のグリーンシーズンの方が1年の中では長いですよね。そこがまだ眠っているなぁという思いがあったんです。白馬のポテンシャルを考えたら、まだもっとお客さんに理解してもらいたい。オールシーズン、通年化というのをしっかりやっていきましょうというのが1つありました。と同時に、「もしかしたらお客さんが求めているものって、スキーやスノーボードじゃなくて、非日常感だったりするんじゃないか」とも思ったんです。その“非日常”の中で、たまに体を動かして、スキーやスノーボードをやったりする、という位置付けになっているのではないかと。実際、オーストラリア人が白馬に来ているのを見ていても、一日中ずっと滑っている人は少なくて、大半の人は雪の上でゆっくり時間を過ごしているんです。ビールを飲んだり、コーヒーを飲んだり、街で買い物をしたり、滞在そのものを楽しんでいる。僕は、そういうふうに時間を過ごせる場所じゃないと、選ばれなくなると思っているんです。
たとえば、海水浴場とビーチリゾートでは、聞いたときに想い描く絵が全然違いますよね。それと同じ。魅力的な非日常が山にたくさんあれば、お客さんにとってまた違う価値になります。もちろん、これにはかなりの脱皮が必要で、大変ではあるんですけれども、今後の市場の動向も考えれば、それをやらなきゃいけない。
ウインターシーズンだけでなく、一年を通して楽しめる多角的なコンテンツが盛りだくさん。新施設やイベントを通じて、白馬ならではの体験が味わえる
―国内外のさまざまなコンテンツも、積極的に誘致・開発されていますね
たぶん、白馬だからできるんです。白馬の自然は圧倒的ですし、住んでいる人間が言うのも何ですけれども、日本であれだけ山が綺麗に見える場所はないなと。その良さが、パートナーさんにもしっかり魅力として受け取ってもらえているんだと思います。実際、「白馬だから」という方は多いですね。例えばTHE CITY BAKERYさんとか、スターバックスさんとか、スノーピークさんと組んだり、宿もすごくユニークなプレーヤーと組ませてもらったり。でもこれって実は、表に出ているものがそうなだけで、裏ではいろいろ断り続けられているんですけどね。
―もちろん、誘致は簡単ではなかったわけですね
そこはものすごく時間をかけて成立しているものなんです。例えばTHE CITY BAKERYさんとも1~2年ずっと交渉を続けていて、やっと認めてもらいました。最初は立地の条件などを懸念されていたのですが、でもとにかくビジョンを明確に描いて、しつこいくらいに伝え続けた。
地元のパッションのある仲間を何人も連れていって、相手側の代表と話をして、ビジネス的にうまく探り合いながらやっていくと、こうして成立することもあるんです。
―ターゲットにしている層は?
社内では「FI層を狙おう。おしゃれなリゾートにしよう」と言っていて、若い人たちがどうやったら来てくれるかというのは、かなり意見をもらいながら企画しています。今までスキーや山に目が向かなかった人、もしくは今どんどん離れている層を、どうやって雪の世界、山の世界に戻ってもらえるようにするか。みなさんと頭を使いながらアプローチしているところです。
予想を大きく上回る集客を記録
―新しいコンテンツを立ち上げた後の集客効果はどうですか?
新しいことをすると、お客さんは如実に反応してくれるな、という感触です。「白馬つがいけWOW!」の方は8月から始めたんですが、3ヶ月で来場者数は8000人にものぼります。これは予定していた人数の1.5倍の数字です。「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR」はさらに人気が爆発していて、開業約1か月で来場者数は3万人を超えました。昨年と比べて5倍ぐらいの集客がありました。人気のプレッツェルクロワッサンは昼前にはすぐ売り切れてしまう日もあります。
―山の中というロケーションにおいて、飲食のサービスは重要ですよね
そうなんです。だからスキー場の食事はかなり強化してきました。「THE CITY BAKERY」さんもそうですし、軽井沢で有名なパスタ屋さんに入ってもらったりとか、スターバックスさんもそうですし、フルサービスのレストランもあります。食の部分は今後もできる限り充実させていこうと考えています。
―お客さまの比率はいかがですか?
国内と海外の比率が8:2、もしくは7:3の割合です。国内でいうと、東京・大阪・名古屋の三大都市圏が7~8割。残りが近県内という感じですね。白馬の場合、名古屋、大阪からもわりと近いので、比較的西の方からもいらっしゃるんです。
―集客にむけてのアプローチはどのようにされているんですか?
冬でいうと、Webの広告はよく配信しています。あとは自社のSNSでの情報発信も強化し続けていますし、既存の雑誌に広告を出したり。でも重要なのは、派手に広告を打ってお客さんを呼ぶことよりも、どれだけリピーターを残すかなんです。何回来てもらえるかということ。そこで去年から会員制度を作ったり、CRM(顧客関係性マネジメント)のような仕組みを取り入れたりもしています。スキー場って意外と、バイネームでお客さまを掴むのが難しいんですよね。だからWebの直販をやって、そこで集客して、直接アプローチするマーケティング手法も試みています。
自分の会社のためだけでなく、地域の集客装置を担う責任
―雇用面での効果も生まれているのでは?
通年で雇っているのが120~130人ぐらい。冬になると、プラス300人ほど雇っています。でも人口がそんなに多くないので、白馬の人だけで人を賄うっていうのが難しいんです。そうすると東京や大阪から人を呼んで来なければいけないんですが、いまどき時給800円とか900円で人を呼んでくるっていうのは難しいですし、苦戦続きです。一番良いのは、通年で雇用できるようにして、地元に住んでもらうこと。そういう人を増やすことができれば、僕らも経営的に楽になります。新しいビジネスをすると通年で雇えるようになるので、そうやって増やしていこうとは思っています。
―地元の人々を巻き込んでいく、その秘訣はありますか?
僕らがなぜここで仕事をしているのかというと、最後は地元の人の生活がよくなるためなんです。地元の人が不利なことを僕らが率先してやることはありえません。でもみんなが同じ軸を向いてくれる人たちばかりではないので、そこはきちんと、「今こういうミッションがありますが、動きませんか。こういうことをやれば、良くなるんですよ」という説明は、泥臭くしつこくやるようにしています。
―東京から地方へビジネスの場を変えられて、感じているギャップはありますか?
自分の会社だけがよくなればいいのではなく、地元の人のためにっていうことを常に思わないと仕事になりません。まさにスキー場って、地域の集客装置だと思うんですよね。そこでお金を稼いだら、魅力ある施設を維持できるように還元する。綺麗な施設があればまたお客さんがやってきて、宿にも飲食店にもお金が落ちて、地域が潤っていく。そういうサイクルが一番の核だと思っていて。そうしたサイクルを回していくためには、東京でコンサルしていた時よりも考える要素が多いし、幅広いことをやっていかなければならない。それがいちばんの違いかもしれませんね。
自分がいちばん好きな世界で仕事をする、という幸せ
―白馬での暮らしについてはいかがですか?
とにかくもう、景色が綺麗です。白馬に家も建てたんですけれども、山が本当に目の前に見える。田んぼのど真ん中にあるので、冬の朝は起きると一番大きな窓から真っ白な山がバ?ンと一面に広がるんです。天気が良いと、軽トラを走らせて一番山の綺麗なところに止めて、荷台でランチをしたりだとか。自分がいちばん好きな世界で仕事をやっているっていう実感があるし、やったことが形になるので、わかりやすい。「山が綺麗だよね」と言っていたところに施設を作って、その眺めを見たお客さんが喜んでくれている。その瞬間を間近に見ながら仕事をするのはすごく楽しいですよ。暮らしの魅力っていうより、僕にとっては仕事の魅力ですね。
―不便さを感じることは?
逆に、白馬だとできないことって、ものすごく少ないと思っているんです。買い物なら、ネットショッピングでどうにでもなるし。僕は物欲があまり高い方ではないので、全然困らないですね。飲食店がもう少しあればいいな、というぐらいで。
―最後に、ご自身の今後のビジョンもぜひお聞かせください
今、仕掛けている最中のものがたくさんあるので、それを5年から10年で形にしていきたいなと。うちは3つのスキー場を運営しているので、それぞれの山ごとに目指すビジョンも描いているんです。みんなでよく言っているのは、「世界の10本の指に入るマウンテンリゾートになりましょう」と。それが1つのゴール。幸いなことに、山と雪、スキー場は、世界と戦えるものがあるので、あとはいかに統一感のあるプランに仕立て上げられるかという話だと思うんです。チャンスは無限に広がっています。